今年も少し発刊が遅れましたが平成15年度浪華さくらそう会誌、第38号が開花時期に合わせて出来上がりました。表紙は申年にちなんで山原作出の〈空穂猿〉です。4月19日には全会員に発送しました。編集は会長、山原が行っており、毎年会誌原稿が集まらず苦労しています。会員の皆さんでさくら草に関しての文書がこざいましたら、私か会長の方に投稿して頂ければ幸いです。尚、会の対外的な窓口、ホームページ等の問い合わせは私「事務局」ですので質問等がありましたらご連絡ください。
会誌第38号は会員以外の方でご入り用でしたらお分け致します。郵送費込み1500円です。
       浪華さくらそう会会誌目次

表紙  空穂猿  山原茂作出新花          表1
目次・行事予定                       表2
はじめに                山原 茂        1
私の実生法              山原 茂      2〜7
奈良 〈旧大乗院庭園〉見学紀  竹岡 泰通    8〜11
歌だより                大石 光    12〜17
美術に見る桜草                    18〜19
訃報……中村 宏氏                     20
行事録・出展品種                   21〜22
会計報告・寄贈目録・新入会員名簿           23
会則・編集後記                        24
山原実生新花系統図                   表3
美術に見る桜草・図版                   表4
はじめに        
小澤征爾氏の活動を紹介するテレビ番組を見る機会がありました。彼は今世紀でもっとも高い評価を得ている指揮者でしょう。
彼は指揮をする前に、その曲を徹底的に読み込む作業をします。作曲者の意図、曲の時代背景など十二分に把握した上で、音を再構築していきます。緻密で妥協の許さない仕事です。その上で、それを演奏者により現実の音楽として再現するのです。その豊かな構成力とともに演奏者の力を自在に引き出す能力に長けているといわれています。彼の手にかかれば、オーケストラはその持てる力を百二十%も発揮するのです。魔法にかかったかのように。
一方で、素人の演奏者が合奏し、その家族や知人がそれを聴いています。技量は高くなくとも、演奏を、音楽そのものを楽しんでいる姿に、彼は感動するのです。
音楽そのものの持つ力、美しさに対する大きな感受性を持っていることが、彼を偉大ならしめている基礎となっているように思われます。
私達も桜草の美を極めたいと常に思っています。どのようにしたら美しく咲くのか、良い芽ができるのか、土の調整、水やり、肥料、鉢、置場など工夫をこらします。さらに今までにない品種を作りたい、際限のない挑戦が続きます。
しかしこの思いは一途なだけに、行き先を見失うことにもなりかねません。そんな時、ふと道端の「ナズナ」に目が行きます。可愛い顔をしています。そう思うとこちらもうれしくなってきます。
私の所に園芸用のピンセットが何本もあります。使い勝手の良さは、形の美しさを伴います。身の回りの何気ないものにも気を留めます。さらに、様々な芸術作品に接する機会を持つようにします。
これらが結局、広い視野を伴った花の美の追求につながるのではないかと思うのですが。
                                                   山原 茂